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「改正」少年法のもとでの少年審判の適切な運用を求める決議

2008年6月11日、人を死傷させた一定の重大な犯罪事件について、少年が12歳未満の場合を除いて、被害者や遺族が少年審判を傍聴することを認める少年法「改正」法案が国会で可決され、年内に施行されることになりました。

少年の健全な育成と、犯罪被害者や遺族の権利保障とは、どちらも大切な問題であり、これらの問題に対しては、一方を高めればもう一方が沈んでしまうというように、両者を対立的に考えるのではなく、双方が充実したものになるよう、私たちは議論を重ね、知恵を絞っていく必要があります。

しかしながら、今回の改正の過程では、こうした点について十分議論が尽くされませんでした。その結果、審判廷の構造をはじめ現在の諸条件のもとで改正法が施行された場合、少年が率直に意見を言いにくくなり、少年が事件についてどのように考え、どのように述べるのかを知りたいという被害者等の要望に応えられないなどの事態が起こることも危惧されています。

そこで、「改正」少年法のもとで少年審判を行うに際し、被害者や遺族の心情に配慮しつつ、少年審判の本来の機能が損なわれない法制度の運用が図られるよう、最高裁判所及び各家庭裁判所に対して


    12歳未満の少年のみ傍聴許可の対象から除外している改正法は、その年齢区分の合理性があるとはいえないので、触法少年など年少の少年事件について、とりわけ慎重な対応をすること

    少年法第22条第1項の求める、懇切を旨とする和やかな審判が行われ、少年にとって話しやすい雰囲気が維持されるように、十分費用をかけてラウンドテーブル方式の広い審判廷を作ること

    犯罪被害者等が別室でモニターにより傍聴する方法に関し、犯罪被害者等からの要望を勘案しつつその利点及び問題点を検証し、幅広い検討を行うこと

    犯罪被害者等の傍聴制度が、犯罪被害者等の権利保障と少年の更生の目的を調和的に達成するためのものとして運用されるべく、被害者等の傍聴の可否を検討する際、家庭裁判所は、付添人に意見を聴くとともに、家庭裁判所調査官が犯罪被害者等と面接を行い、少年審判の状況や機能を丁寧に説明するなど調整的役割を果たすこと

    これらの目的を達するため、家庭裁判所調査官、家庭裁判所書記官を増員すること

    少年の健全な育成と、犯罪被害者や遺族の権利保障との両立のために、弁護士会を含む関係機関が協議を重ね、その実現を図ること

を求めます。

以上、決議します。



2008(平成20)年10月17日
中部弁護士会連合会



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