弁護士は基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、司法制度を支えるに不可欠な職業である。そして、我が国の弁護士は、長年に亘り様々な人権課題に取り組んで国民の権利を擁護し、法制度の改善に力を注ぎ、憲法の理念の実現に努めてきた。
しかしながら、平成13年の司法制度改革審議会の意見書に基づく弁護士数の急激かつ大幅な増加は、弁護士界に深刻な事態を惹き起こしている。
この先のさらなる大幅な増加は、我が国の弁護士並びに弁護士制度の変質を招き、基本的人権の擁護と社会正義の実現という制度的機能を喪失させるおそれがある。
我々弁護士は、このような弁護士激増政策が推し進められている現状を座視することなく、国民にとって弁護士制度が如何にあるべきかを実証的に検討する中で、我が国の現状に即した適正な弁護士数を求めていく必要がある。
このような観点から、日本弁護士連合会は、司法試験年間合格者3000人の前倒し実施およびさらなる大幅な合格者増員の検討に対して、毅然として反対すると共に、3000人増員計画自体を見直し、国民の需要に見合った適正な法曹人口政策をとるよう、政府並びに国民に対して訴える活動を開始するべきである。
以上、決議する。
2007(平成19)年10月19日
中部弁護士会連合会