中部弁護士会連合会

中弁連からのお知らせ

悪質商法被害を根絶するため割賦販売法及び
特定商取引法の抜本的改正を求める決議

判断能力や気力が低下した高齢者を狙うリフォーム工事や呉服次々販売、暴力団が一般消費者を食い物にする絵画レンタル商法など、悪質商法被害が続発している。しかも、クレジット会社がこうした悪質業者と提携することにより、高額かつ深刻な被害を助長している。

訪問販売、電話勧誘販売、その他消費者被害が生じやすい販売方法は、消費者の主体的な選択行動を歪める危険性を有している。それにもかかわらず、これを規制する現行特定商取引法は、契約書面交付義務、クーリング・オフ及び勧誘行為規制を基本とする緩やかな規制内容にとどまる。しかも、被害の後追いとなる政令指定商品制が未だに温存されたままである。悪質業者は消費者被害を引き起こし、問題化すると閉鎖して逃走するということを繰り返している。このように、被害の防止と救済に向けた実効性ある法規制が不足している。

クレジット契約は、代金後払いで高額商品を購入できる利便性を有する一方で、消費者の支払能力を無視した過剰与信を繰り返したり、詐欺商法を展開する悪質販売業者に資金(立替金)を供給するなど、悪質商法を助長するおそれのある構造的な危険性を有している。にもかかわらず、現行割賦販売法は、こうしたクレジット契約の危険性を排除し公正な取引を確保する法的措置が欠落している。

現在、国は、経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会及び同消費経済部会特定商取引小委員会において、割賦販売法と特定商取引法の改正を検討中である。

そこで、当連合会は、国に対し、両法について、以下の事項を含む抜本的法改正を強く求める。


    割賦販売法については、@具体的基準を伴う過剰与信規制を定め、違反に対し実効性ある民事責任及び行政処分に関する法規制を設けること、A提携先販売業者の販売契約が無効・取消・解除等により遡及的に消滅した場合について、クレジット会社に対して未払金の支払拒絶を主張しうるにとどまらず、このクレジット会社に対する抗弁対抗の効果を、既払金の返還請求義務の発生までに拡大し、クレジット会社が販売業者と連帯して無過失共同責任を負うものとすること、B契約書型クレジット(個品割賦購入あっせん)のクレジット事業者について、登録制を設け、クレジット契約書面の交付義務及びクレジット契約に対するクーリングオフ制度を規定し、違反したクレジット事業者に対する行政処分権限を規定すること、C割賦払い要件を撤廃して1回払いや2回払いのクレジット契約をその適用対象とし、政令指定商品制を廃止することにより、原則としてすべてのクレジット取引を規制対象とすること。

    特定商取引法については、@政令指定商品制を廃止し、販売業者等の定義規定を見直すなど、脱法的な手口を許さないよう適用対象を整備すること、A不招請勧誘の禁止、契約取消権の範囲の拡充、消費者団体訴訟制度の適用対象の拡大、犯罪収益吐き出し制度の適用対象の拡大など、被害の防止・救済に実効性のある規定を設けること。

 以上、決議する。



2007(平成19)年10月19日
中部弁護士会連合会



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