近年、暴力団のみならず政治活動あるいは社会活動を標榜する団体等が、不正に金銭や各種の利権を獲得するために、地方公共団体・国等の行政機関またはその職員を対象として、違法ないし不当な要求行為を行ういわゆる行政対象暴力事案が顕著にみられるようになってきた。
憲法の基本原理である国民主権・住民自治の精神からすれば、行政は、国民・住民のために公正に行われるべきであり、その意思決定過程においても、透明性が要求される。
もし行政において、その作用の公正さが害され、その意思決定過程の透明性が失われることになれば、それは民主主義の崩壊につながり、ひいては国民・住民の利益・権利が侵害されることになる。
当連合会は、
行政対象暴力の放置は、民主主義と人権擁護を理念とする我が国において、決して許されることではないこと、及び弁護士・各県警察・各県暴力追放センター等がより連携を強化して、行政対象暴力排除に向けて積極的に取り組む必要性があることを改めて認識し、
各々の立場において、国民・住民の負託に応えるべく努力していくことを決意するとともに、
地方公共団体・国に対して、
不当要求行為等に対応する専門的部署を常設する等して、組織的対応ができる体制を確立・強化すること
組織内で対応できないと判断された事案については、警察・暴力追放センター・弁護士など外部の機関と迅速に連携を図り得る体制を速やかに確立・強化することを求める。
以上、決議する。
2006(平成18)年10月20日
中部弁護士会連合会