中部弁護士会連合会

中弁連からのお知らせ

いじめ・虐待防止ネットワークに関する宣言

いじめ・虐待は、子どもの心と身体を深く傷つける人権侵害である。非行の背景にも、少年が生育過程においていじめ、虐待によって心的外傷を負い、適切な援助もないまま放置されている状況が存在することが多い。

学校の現場では、体罰など力による子どもの抑圧がいじめの背景に存在する構造が認められるほか、いじめられる側にも原因や誘因があるという教員の誤った認識も根強く、子どもの人権の視点に立った有効な解決策を見出し得ないでいる。その状況下で不登校も増え続け、2000年度文部科学省調査で小・中学校の不登校は13万4000人を超え、中学校では38人に1人の割合になっている。また、全国の児童相談所が受けた子どもの虐待相談は2000年までの10年間で約17倍に増加し、2000年度には1万8804件に達した。2000年5月には児童虐待の防止等に関する法律が成立したが、認知される虐待件数の増加に対応すべき児童福祉関係機関の人的物的体制は全く不十分であり、子どもの人権の視点に立った援助や回復のための施策についても法律は不十分である。


いじめと虐待の問題に対しては、的確な発見、介入に始まり、複雑化した人間関係の調整修復や傷ついた子どもの回復と自立援助を見通した対応をなし得るヒューマンネットワークが必要である。その対応にあたっては、子どもを単に管理、指導、保護の客体と見るのでなく、子どもを権利行使の主体とした子どもの権利条約の子ども観に立ち、子どもの意見表明に耳を傾け、その解決プロセスに子どもが主体的に参加できるようにしなければならない。

当連合会は、以上の視点に立って、子どものパートナーとしての弁護士活動を強化し、次の課題に取り組む。

  1. いじめ・虐待問題に有効に対応し得る学校、児童福祉機関その他関係機関、地域を含めたネットワークを構築し、そのネットワークの一翼を担う。
  2. いじめその他学校生活にかかわる諸問題について、子どもをサポートしつつ人間関係を調整する役割を担う。
  3. 子どもが主人公になる開かれた学校教育環境と地域の居場所づくりのために積極的に提言する。
  4. 児童福祉関係機関および児童福祉施設の人的物的充実について関心を持ち積極的に提言する。

 以上、決議する。 



2001(平成13)年10月12日
中部弁護士会連合会



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