中部弁護士会連合会

中弁連からのお知らせ

社会福祉基礎構造改革における弁護士、弁護士会の役割に関する宣言

65歳以上の高齢者の占める割合が17パーセントを超える状況の中で、わが国では社会福祉基礎構造改革の名のもと、本年4月には介護保険制度が実施され、6月には社会福祉事業法が改正されて社会福祉法が成立した。

社会福祉基礎構造改革においては、福祉サービスに関する措置制度が原則として廃止され、契約制度が取り入れられている。しかし、高齢者の中には加齢と共に判断能力の減退を余儀なくされる人があり、このような高齢者については判断能力の適切な補完がなされなければその権利は十分に保障されない。

また、判断能力が減退していない高齢者においても、福祉サービスに関する情報が十分に提供され、かつ福祉や法律の専門家による援助を受けられる体制が整備されていなければ、適切な選択・契約をすることはできない。

さらに、社会福祉基礎構造改革では、民間事業者が福祉サービスの提供において中心的な役割を担うことが予定されているが、サービスの基準が明確になっていない中でサービスの質をいかに確保するかは重要な課題であり、その具体的な方策が検討されなければならない。

このような福祉サービスへの契約制度の導入と民間事業者の参入という福祉の大変革の中で、本年4月には成年後見制度が施行された。成年後見制度は、意思能力が不十分な人々の判断能力を補完することを目的とするもので、判断能力が減退した高齢者の権利の保障にとって必要不可欠な制度である。しかし、経済的に困窮している高齢者に対する公的援助体制が整備されていないなど、成年後見制度を実効あらしめるための条件は十分に整備されていない。

当連合会は、かかる現状認識のもと、次のとおり決意する。

  1. 弁護士会は、地域の中心となって、福祉専門職、行政、市民らとの広い連携により、高齢者問題の特質に十分対応できる相談体制や、財産管理・介護支援など高齢者の生活全般を支援するセンターを整備し、弁護士がそこにおいて高齢者の援助者として積極的に活動すること

  2. 地方公共団体が中心となって、福祉サービスに関する情報が十分に提供され、またサービスの質が確保されるための社会的なシステムを構築することを提言することおよびその中で弁護士がチェックパーソンとしての役割を果たすこと

  3. 法律専門家として成年後見制度を適切に活用するとともに、国や地方公共団体に対して経済的に困窮している高齢者に対する公的援助の実現を求めるなど、成年後見制度を実効ある制度とするための提言を行うこと


 以上、決議する。 



2000(平成12)年10月13日
中部弁護士会連合会



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