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非弁行為・非弁提携問題に取り組む宣言

〜非弁による被害者を出さないために,加害者とならないために〜

1 弁護士法は,弁護士資格のない者(以下「非弁護士」という)が,報酬 を得る目的で,法律事件に関する法律事務を業として行うことを,認定司法書士などの一部の例外を除いて禁止し,刑事罰の対象としている(弁護士法72条,77条3号)。そして,非弁護士については,法律事務所や法律相談などの標示・記載をすることなども禁止され,刑事罰の対象となっている(同法73条,77条4号,74条,77条の2。以下,同法72条から74条で禁止されている非弁護士の行為を「非弁行為」という)。更に,弁護士法は,弁護士が,非弁行為をする者から周旋を受けたり,これらの者に自分の名義を利用させたりすることも禁止し,刑事罰の対象としている(同法27条,77条1号。以下,同法27条で禁止されている行為を「非弁提携」といい,「非弁行為」と併せて「非弁問題」という)。

このように,弁護士法が,非弁行為を禁止し,それを助長する非弁提携を禁止しているのは,「資格もなく,なんらの規律にも服しない者が,みずからの利益のため,みだりに他人の法律事件に介入することを・(中略)・放置すると,当事者その他の関係人らの利益をそこね,法律生活の公正円滑ないとなみを妨げ,ひいては法律秩序を害することになるので,かかる行為を禁圧するため」(最大判昭和46年7月14日)である。


2 近年,非弁行為については,非弁護士が交通事故などの紛争案件に関与して示談交渉するような,非弁行為であることが明らかな形態だけでなく,ネット情報削除,賃料減額交渉など,様々な形態が現出してきている。最近では,退職代行サービスのように,マスコミで新規ビジネスとして大々的に取り上げられているもののなかにも,非弁行為が疑われるものもある。

また,他の隣接士業(以下「他士業」という)についても,例えば,司法書士が法律で認められた140万円の範囲を超える事件について実質的に代理人として関与することや,行政書士が交通事故などにおいて本人に代わって交渉を行うことが,非弁行為であるとして裁判でその行為の効力が否定され,また,懲戒処分を受けている例もある。

このように,法律で認められた資格もなく,法律事件に関する法律事務についての専門知識や能力等の担保もない者が非弁行為をすることを放置すれば,市民が享受すべき適正で良質な法的サービスを享受できないおそれがある。

しかし,多くの市民は,認定司法書士などの一部の例外を除き,法律事件に関する法律事務を,弁護士以外の者が業として行うことが禁止されていることを知らず,資格のない者を資格のある者と誤解したり,各士業に法律上認められている業務の範囲を誤解したりしている。

その結果,無資格者に法律事務を委任し,適正で良質な法的サービスを享受できず,その被害に気付かない市民も少なくない。


3 非弁提携も,従来のような,非弁行為をする者が弁護士に対し直接的に事件紹介や報酬分配を求める行為や,非弁行為をする者が債務整理事案を行うのに弁護士に名前を貸すよう求める行為にとどまらず,事務所の広告,サブリース,コンサルタントなどを利用した,様々な非弁提携が現出してきている。

このような非弁提携では,市民が弁護士資格を信用して法律事務を依頼するため,非弁行為による被害が拡大する。また,弁護士自身も,結果として非弁行為をする者に加担したことにより,懲戒処分や刑事処罰を受ける。


4 そのため,各弁護士会は,専門委員会を設置するなどして,非弁問題取締りの強化を図っている。

日本弁護士連合会(以下「日弁連」という)も「業際・非弁・非弁提携問題等対策本部」を設置し,非弁問題の研究,情報発信,協議会の開催などを通じて,各弁護士会における非弁問題取締り活動を援助している。


5 しかし,以上のような各弁護士会,当連合会,日弁連における非弁問題に対する取組みは未だ不十分であり,非弁問題への適正・迅速な対応が必要である。また,非弁問題は,弁護士が,現実に市民に適切な法的サービスを提供できていないことから生じている側面もあることを十分に認識して,対応することも不可欠である。


6 そこで,弁護士及び弁護士会には,下記のような取組み・行動が求められる。


1 弁護士及び弁護士会は,市民の法的ニーズに応えるため,十分な法的サービスを提供するよう努める。

2 弁護士及び弁護士会は,弁護士が,法律の専門家としてあらゆる法律事件に関する法律事務に対応できることを市民に認知されるよう努める。

3 弁護士会は,非弁問題に対して,適正・迅速に対処するため,非弁問題取締りの体制を整え,情報の収集,蓄積を図るとともに,各弁護士会連合会,日本弁護士連合会を通じて,非弁問題に関する情報交換,調査の連携などを図る。

4 弁護士会は,市民が非弁行為,非弁提携の被害に遭わないよう,非弁問題について積極的に広報する。

5 弁護士会は,弁護士に対し,非弁提携に陥ることを防ぐため,情報提供と注意喚起に努める。

    

7 当連合会は,弁護士や弁護士会の上記取組み・活動を援助し,また自ら主体的に取組み・活動をすることによって,市民の適正で良質な法的サービスの享受,社会全体の法秩序維持という弁護士法72条の趣旨の実現に努め,それに寄与することを,ここに宣言する。



2019年(令和元年)10月18日

中部弁護士会連合会



提 案 理 由


1 はじめに

 非弁行為,非弁提携について,今回のシンポジウムに向けて調査したところ,過去10年の間に,非弁行為,非弁提携に関する裁判例,弁護士や他士業の懲戒処分例も多数存在しており,これらが,新聞などのマスコミで取り上げられることも少なくない。


(1) 非弁行為の状況

ネット情報削除や,賃料減額交渉などが非弁行為として問題になり,近年では,退職代行サービスなどのように,態様によっては,法律事務を扱い,非弁行為と疑われるような業務を行う新ビジネスが登場している。

特に退職代行サービスについては,マスコミでも何らの問題も指摘されることのないまま,大々的に取り上げられ,多くの市民が利用する結果となっている。このサービスについては,今回のシンポジウムに向けて実施した会員向けアンケート(以下「会員アンケート」という)においても問題であるとの指摘がなされている。また,今回のシンポジウムに向けて実施した市民向けアンケート(以下「市民アンケート」という)では,退職代行サービスが,単に,退職することを会社に伝えるだけの業務を行うと考えているのは,全体の30%にも満たず,それ以外の者は,会社との窓口になったり,自分の代わりに会社と交渉したり,労働問題の法律相談ができると思っているなどの問題も明らかになった。

そして,他士業者が,本来,法律で認められている業務範囲を超えて,法律事務を行っていたり,また,そのような非弁行為を窺わせるホームページを出したりしている事例も少なくない。会員アンケートでも,遭遇した非弁行為と疑われる案件の約60%が他士業者によるものであり,過払・債務整理,遺産相続,交通事故などの法律事件に,他士業者が業務範囲を超えて関与している問題点が指摘されている。


(2) 非弁提携の状況

非弁提携は,かつては,事件紹介,報酬配分など,非弁提携であることが明らかなケースが多く,従前多く見受けられたのは,大都市における多重債務案件であった。

しかし,最近では,インターネットを利用した弁護士紹介サイトのなかに,広告行為を超え,非弁提携を疑わせるものもあるほか,多重債務案件以外の特定分野での非弁提携が疑われる案件が,東京,大阪以外でも,見られるようになっている。実質的には非弁提携業者であるものが,事務所広告,事務所賃貸,事務所経営コンサルタントなどの形で弁護士を勧誘してくるものがある。実際,会員アンケートの結果によっても,回答した会員の約10%が非弁提携と疑われるような勧誘を受けたとのことである。

そして,非弁提携による弁護士の懲戒処分は,2012年(平成24年)1月から2017年(平成29年)12月末までの間に,37件あり,そのうち業務停止処分が23件あり,退会命令,除名も各1件ずつある。

今年に入ってからも,弁護士紹介サイトを運営していたインターネット関連業者が弁護士法違反(非弁行為)で刑事処罰を受けており,その業者から事件の周旋を受け,業者から派遣された従業員に事件処理を任せていた複数の弁護士が弁護士法違反(非弁提携)で刑事処罰を受けたことが,新聞などで何度も取り上げられている。また,2017年(平成29年)には,実質的には140万円を超える過払金返還請求案件を処理している司法書士から事件の周旋を受けた弁護士が懲戒処分を受け,これも新聞で大きく取り上げられている。

それ以外にも,弁護士が,非弁提携業者と疑われる広告業者から言われるままホームページ,CMなどでの広告活動を任せてしまった結果,広告業者から多額の広告料の支払を求められ,破産に至った事例もある。


(3) 取組みの必要

このような状況においては,弁護士,弁護士会として,非弁問題について,どのように取り組んでいくかを考える必要がある。


2 非弁行為が禁止される理由

(1) 公益的目的

弁護士法が,非弁行為を禁止し,それを助長することになる非弁提携を禁止している理由は,前記のとおり,最高裁判決でも示されているところである。

すなわち,非弁行為の禁止には,国民の公正円滑な法律生活を保持し,法律秩序を維持・確立するという公益的目的が認められる。


(2)市民の被害の防止

非弁行為により,市民は,本来得られるべき適正で良質な法的サービスを享受する機会を阻害され,法的利益が侵害されるという被害に遭う。更に,このような事件に介入する非弁行為をする者が,法的規制もなく,自らの利益を求めることで,市民は,多額の報酬まで貪られることになってしまう。こうした被害に市民が遭うことを防ぐため,非弁行為は禁止され,刑事処罰の対象にもなっている。

そして,非弁提携は,弁護士が非弁行為に関わることで,弁護士の名が利用され,市民が弁護士資格を信用してしまうことで,非弁行為による被害が拡大してしまうものであって,「弁護士法27条は,弁護士が非弁行為者と結託して行う名義貸しが,直接又は間接に非弁行為を助長することから,それを禁止する趣旨で特別に処罰規定を設けていると解される」(大阪地判平成19年2月7日)ものである。


3 日弁連,各弁護士会連合会,各弁護士会での取組み状況

日弁連,各弁護士会連合会,各弁護士会においても,非弁問題について,主に,非弁行為の取締りを強化する方向で取組みをしている。


(1) 日弁連の取組み

日弁連では,2007年(平成19年)に,業際・非弁問題等対策本部を立ち上げ,2011年(平成23年)からは,非弁提携問題も合わせて取り組むことになり,この業際・非弁・非弁提携問題等対策本部において,非弁問題の取組みを行っている。

そのなかでは,非弁行為,他士業の業務範囲などの研究をし,「非弁行為に関する判例集成」「隣接士業の業務範囲」などの冊子も発行して,各弁護士会,弁護士への情報提供も行っている。

そして,それとともに,具体的な非弁行為に対する各弁護士会における取組みを強化し,全体的な底上げを図るため,各弁護士会連合会で意見交換会を開催し,非弁取締りに関する全国担当者協議会を開催し,非弁取締りマニュアルを発行するなどして,各弁護士会の活動をバックアップしている。

また,非弁提携については,「非弁提携弁護士に陥らないために」の冊子を作成したり,「ちょっと待って!それって非弁提携じゃありませんか」というチラシを作成したりして,会員に非弁提携の問題を知らせるように努めている。


(2) 各弁護士会の取組み

各弁護士会において,非弁行為の取締りを強化する必要性から,既存の委員会内に非弁問題を扱う部会が設置されるほか,非弁問題に対応する専門委員会が,既存委員会の部会等から独立する形で,順次設置されている状況にある。日弁連(業際・非弁・非弁提携問題等対策本部)の調査によると,2017年(平成29年)12月現在で,専門委員会を設置している弁護士会が,52会のうち36会あり,既存の委員会に部会等を設置している弁護士会も13会あり,専門委員会や部会が設置されていない弁護士会は3会にとどまる。

そして,専門委員会や部会が設置されていない弁護士会においても,非弁案件の情報提供があれば,既存の委員会のなかで対応している。

また,前記調査によると,非弁案件を調査などするための手続規則や取扱要領などを規定している弁護士会も19会あり,そのうち4会ではマニュアルも作成している。


(3) 各弁護士会連合会の取組み

弁護士会連合会単位では,近畿弁護士会連合会において,委員会を設置し,情報交換,勉強会などを行っており,当連合会でも,前記のとおり,2015年(平成27年)に業際非弁対策委員会を設置し,九州弁護士会連合会では,協議会を設置している。

このように,弁護士会連合会単位での活動も,日弁連の弁護士会連合会単位での意見交換会などを契機に,広がっている。


4 当連合会管内における非弁問題への取組み状況

(1) 弁護士会の取組み

当連合会管内においても,愛知県,岐阜県では,非弁問題に取り組む専門委員会を設置しており,それ以外の三重,福井,金沢,富山県では,非弁案件に関する情報提供も多くないので,専門委員会を設立するまでには至っていないが(なお,福井以外は既存の委員会に部会を設置している),会員や市民からの情報提供を端緒に,委員会,部会内で議論し,調査,措置等の対応をとっている。


(2) 当連合会の取組み

当連合会では,前記のとおり,業際非弁対策委員会を設置して,各弁護士会の間で情報交換を進めるなかで,非弁問題に対する理解,スキルアップを図っている。


5 今後の対応,課題

このように,各弁護士会,各弁護士会連合会,日弁連で,非弁問題に取り組んできているが,未だ,次のような課題がある。


(1) 弁護士の意識改革

 ア 法的ニーズの把握と法的サービスの提供

無資格者が法律事件に関する法律事務を行おうとしたり,他士業者が業務範囲を超えて,法律事件に関する法律事務を行おうとしたりするのは,弁護士がその分野に十分な法的サービスを提供できていないことが原因ともいえる。

この点,退職代行サービスを例に考えれば,退職代行サービスの態様に問題があるとはいえ,少なくとも,弁護士が,その分野に法的ニーズがあることを認識しておらず,その分野で市民への法的サービスを十分提供できていなかったことを反省しなければならない。

弁護士による法律事件に関する法律事務の独占が認められている以上,弁護士は,当然,市民の需要に応え,法的サービスを行き渡らせる社会的責務を負っていることを自覚しなければならない。

弁護士は,法的サービスが行き届いていない分野がどこであるかを考え,法的解決を望んでいる者への法的サービスを提供していくことが必要である。そのためにも,弁護士は,法令及び法律事務に精通するよう研鑽を積まなければならない。

このことは,弁護士法2条においても,「弁護士は,常に,深い教養の保持と高い品位の陶やに努め,法令及び法律事務に精通しなければならない。」と規定されているところである。

 イ 非弁問題への意識

弁護士会は,市民や弁護士などからの情報提供に基づいて,非弁問題の調査などをする。会員アンケートにおいても明らかなとおり,多くの会員弁護士が非弁行為と疑わしい案件に接している。非弁問題の対応は弁護士会だけでなく,弁護士が個別案件において非弁問題に適切に対応することが不可欠である。

そして,非弁行為に加担する非弁提携に陥らないよう,弁護士紹介サイトなどが弁護士法の脱法行為にならないか常に注意を払い,弁護士紹介サイト,特定業者などからの事件紹介による安易な事件受任にも注意をする必要がある。

特に,弁護士においては,弁護士法27条で非弁提携が禁止されているだけでなく,弁護士の職務に関する倫理と行為規範を定めた「弁護士職務基本規程」において,非弁行為者でなくても非弁行為を疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け,これらの者を利用し,これらの者に自己の名義を利用させてはならないと規定されている(同規程11条)。それ以外にも,同規程は,弁護士でない者との間での報酬分配を原則として禁止し(同規程12条),依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼などを受けることなどを禁止している(同規程13条)。

そのため,職務基本規程の内容も十分理解し,非弁問題を考える必要がある。


(2) 弁護士会としての取組み

 ア 法的サービスの提供に向けての広報

個々の弁護士の意識の問題だけでなく,弁護士会としても,市民の求める法的ニーズを汲み取り,どの分野に,弁護士による法的サービスが行き届いていないかを把握する必要がある。

そのうえで,弁護士会は,弁護士が法律の専門家であり,あらゆる法律事件に関する法律事務に対応できることを広報していくことが必要である。

 イ 非弁行為への対応

(ア) 非弁案件に対する適正,迅速な対応が必要とされる。

 退職代行サービスのような新ビジネスのなかにも,非弁行為と疑われるものがあるが,これらの多くは,一挙に大量な事件処理を行っている点に特色がある。

 また,情報通信技術の発達により,被害者が,短期間で,大量に,広範囲に広がる非弁行為が増加している。

 これらの行為に対応するには,弁護士会・弁護士による十分な検討のもと,適正な対応が必要であることはもちろんであるが,それとともに,被害者を最小限に止めるため迅速な対応が不可欠である。

(イ) そのため,非弁行為に関する知識や情報を蓄積し,非弁行為に適切・迅速に対応できる体制づくりが求められるが,これを各弁護士会だけで対応するのは限界がある。そこで,各弁護士会の情報を各弁護士会連合会,日弁連を通じて共有できるようにし,各弁護士会が処理に悩んだ場合に,当該弁護士会と連携し適時に対応可能な窓口を,弁護士会連合会や日弁連に設置することが強く求められる。

 特に,被害者が広範囲に広がる非弁行為に対応するためには,各弁護士会の連携,情報交換などが極めて重要であり,その点での各弁護士会連合会,日弁連の果たすべき役割とその期待は大きい。

 ウ 弁護士に対する研修,情報提供

(ア) 弁護士が非弁問題に対する意識をもつためにも,弁護士会としては,会員を対象に研修会を開催するなどして,研鑽を積む機会を提供することが不可欠である。

(イ) 特に,若手会員が,その危険性を自覚しないまま,事件紹介を受け,非弁提携に陥ってしまう事例が認められる。そのため,弁護士会は,時代とともに,どのような形態の非弁提携が問題となり,非弁提携の罠がどのあたりに潜み,非弁提携に陥ってしまった場合にどのような結末を迎えるのかなどの具体的事例を通じての研修を実施し,会員に十分な情報提供を行っていくことが必要である。

 エ 市民などに向けての活動

(ア) 市民においては,非弁問題に対する認識が十分でなく,非弁行為を請け負う広告を見て,法的に何ができるかもわからないまま,非弁行為に関わる業務を依頼しているケースが少なくない。

また,多くの市民は,弁護士と他士業との業務範囲の違いも認識できておらず,法律上,認められていない業務を他士業者に依頼してしまい,その結果,十分な解決が図られないことも少なくない。

市民アンケートにおいては,そもそも,弁護士と司法書士,行政書士との違いを知っていると回答した者は,約30%にとどまっていた。

(イ) 市民アンケートで,非弁行為という言葉を聞いたことがある者が約15%で,非弁提携という言葉を聞いた者は5%にも満たない。このように,市民の非弁問題に対する関心は高くない。しかし,弁護士会として,市民が非弁行為の被害に遭わないために,法律上権限が認められていない無資格者などが,法律事件に関する法律事務を扱うことができないことを広報し,また,各士業において扱うことができる業務範囲を明確にするために広報することも重要である。

  さらに,マスコミにおいても,非弁行為や,各士業の業務範囲の理解が十分でなく,ときに,非弁行為が疑われる新規事業を紹介することがある。それ以外にも,法律問題に関するコメントを,その問題の解決をすることができない無資格者や他士業者に求め,あたかも,これらの者が,具体的案件にも対応できる資格を有するかのような誤解を与えかねない場面を目にすることもある。

 非弁行為による被害を防ぐためには,弁護士会はマスコミに対し情報提供や意見交換をするなどして,非弁問題を理解してもらうための工夫・努力が必要である。

 オ 弁護士会の取組み・活動(まとめ)

 弁護士会としては,今まで以上に,非弁問題に対する調査,措置などを行っていくことが必要であるが,今後は,さらに,市民が非弁行為の被害者にならないよう,市民,マスコミへの広報活動を進めていくことが必要である。また,弁護士会は,弁護士が非弁提携に陥り,市民に対する加害者にならないよう,弁護士に対し情報提供,注意喚起をしていくことが必要である。


6 結語

当連合会は,今後,より活発になるであろう弁護士や弁護士会の非弁問題に対する取組み・活動を援助し,また自らもより活発に情報共有,意見交換,研修実施や広報等の取組み・活動を行うことによって,市民の適正で良質な法的サービスの享受,社会全体の法秩序維持という弁護士法72条の趣旨の実現に努めていく決意である。

よって,冒頭のとおり,宣言する。

以上

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