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死刑執行に強く抗議し、死刑執行を停止して
死刑制度に関する全社会的議論を求める声明

2015年(平成27年)12月18日、東京拘置所と仙台拘置支所においてそれぞれ1名の死刑が執行された。同年10月7日に就任した岩城光英法務大臣が就任後僅か2ヶ月余りで執行を命じたものであった。東京拘置所における被執行者は、裁判員裁判により市民が死刑と判断した死刑囚として初めて執行されたものであり、また、仙台拘置支所における被執行者は、第一審で事実を認めた後、控訴審で否認に転じ無実を主張していたものであった。さらにまた、直近の2016年(平成28年)3月25日にも2名の死刑執行がなされた。2012年(平成24年)12月の第2次安倍内閣発足以降、死刑の執行は合計16名となった。

静岡地方裁判所は、2014年(平成26年)3月、袴田巌氏の第二次再審請求事件で再審を開始し、死刑及び拘置の執行を停止する決定をした。もし死刑の執行がなされていれば、まさに取り返しのつかない事態となっていた。

そもそも死刑は、人間の生命を奪うという非人道的行為であり、誤判・冤罪の場合の不正義は堪え難い。

世界に目を向ければ、EUを中心とする世界の約3分の2の国々が死刑を廃止又は停止している。日本国内においても、2014年(平成26年)11月の内閣府世論調査で、仮釈放のない終身刑の導入を条件に「死刑を廃止する方がよい」とする回答が37.7%を占めるなど、死刑廃止に向けた国民的世論が形成されつつある。さらに、2014年(平成26年)2月には、裁判員経験者から法務大臣に宛てて死刑執行停止の要望書が提出されるに至った。このように、国民に十分な情報を開示して、死刑制度の存廃について国民的議論を尽くす必要がある状況になっている。

日本弁護士連合会は、2004年(平成16年)の第47回人権擁護大会において「死刑執行停止を求める」決議を行い、2011年(平成23年)の第54回人権擁護大会では「死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける」宣言を出している。また、2015年(平成27年)12月9日、岩城光英法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して、死刑制度に関する情報を広く国民に開示して死刑制度のあり方についての議論を尽くすべきこと、そして、その議論が尽くされるまでの間はすべての死刑の執行を停止すべきことを求めた。本年10月には、福井県で開催される第59回人権擁護大会を開催し、シンポジウム第3分科会「死刑廃止と拘禁刑の改革を考える〜寛容と共生の社会をめざして〜」を実施する予定である。

当連合会でも、2015年(平成27年)、人権擁護委員会内に死刑問題検討ワーキンググループが設置され、死刑に関する議論を広めるべく活動を開始し、当連合会内の各弁護士会とも連携しながら、死刑廃止に向けた全社会的議論への取り組みを進めている。

当連合会は、日本弁護士連合会の決議・宣言及び岩城光英法務大臣に対する要請に賛同するものであり、法務大臣の死刑執行に対し強く抗議の意思を表明するとともに、政府に対して、すべての死刑の執行を停止して、死刑制度についての全社会的議論が尽くされる施策を講じることを強く求める。



                                2016年(平成28年)3月28日

中部弁護士会連合会    
    理事長  花 井 増 實

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