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 法曹人口・給費制理事長声明

1 法曹人口について

日本弁護士連合会は、2012(平成24)年3月に「法曹人口政策に関する提言」を公表し、司法試験合格者数をまず1500人にまで減員し、更なる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要、問題点の改善状況を検証しつつ対処していく旨の、政策提言を取りまとめた。

その後、2012(平成24)年7月27日、国会で裁判所法の一部改正に関する法律が成立し、政府は、法曹養成制度全般につき法曹養成制度検討会議において検討を行い、1年以内に一定の結論を得て、速やかに必要な措置を行うこととし、現在、同検討会議において検討がなされている。

中部弁護士会連合会(以下、当連合会という)は、2007(平成19)年10月19日、2001(平成13)年に出された司法制度改革審議会の意見書に基づく弁護士数の急激かつ大幅な増加は、弁護士ひいては日本の法曹制度全体に深刻な事態を引き起こしているとして、日本弁護士連合会に対して、3000人増員計画自体を見直し、国民の需要に見合った適正な法曹人口政策をとるよう、政府並びに国民に対して訴える活動を開始するべきと、決議した。また、2009(平成21)年10月16日には、司法試験合格者を段階的に減少させて早期に年間1000人程度にすべきであると決議した。なお、2012(平成24)年10月に当連合会が管内の弁護士に対して実施したアンケート結果においても、適正と考える年間の司法試験合格者数を1000人とする回答が最も多い状況にある。

当連合会の前記決議後、2012(平成24)年3月の日本弁護士連合会の政策提言がなされ、現在、日本弁護士連合会は法曹養成制度検討会議に対して、同連合会の政策提言にもとづくプレゼンテーションを行うなどして、その政策提言が同検討会議の審議に反映されるよう努力を重ねている。

弁護士は基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、裁判官や検察官とともに日本の司法制度を支える職責を有する。そして、その司法制度は、多様で有意な人材、質の高い法曹によって支えられなければならない。

ところが、司法試験合格者数の大増員と後に述べる司法修習生給費制の廃止は、司法修習修了者の就職難、司法試験志願者の減少、さらに法学部や法科大学院の志願者の減少という事態を引き起こしている。この事態は、将来の法曹の質に重大な影響を与え、日本の司法制度にも弊害をもたらすものであり、直ちにこの事態を改善することが喫緊の課題である。

よって、日本弁護士連合会による2012(平成24)年3月の「司法試験合格者数をまず1500人までに減員し、更なる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要、問題点の改善状況を検証しつつ対処していく」との前記政策提言が、現在審議が行われている法曹養成制度検討会議に反映され、法曹人口が実需に見合い、将来にわたって法曹の質を確保できる制度になることを強く求める。



2 司法修習生に対する給費制の復活について

2012(平成24)年11月27日、第66期の司法修習が開始され、約2000人の司法修習生が全国各地の地方裁判所所在地に配属され、当連合会内の弁護士会に合計189人の司法修習生が配属された。

司法修習生は、司法を担う法曹としての高い専門性を修得するため1年間司法修習に専念する義務を負っているため(裁判所法第67条第2項)、兼業・兼職が禁止され、司法修習を行いながら収入を得ることはできない。また、司法修習生は、全国各地に配属されて司法修習を行うため、現在の居住地とは異なる場所に配属され、引越費用や移動のための旅費や住居費などの出費を余儀なくされる者も少なくない。

このような司法修習生の実態を踏まえ、司法修習生に対しては、かねて、司法修習中の生活費等の必要な費用が国費から支給されていた(以下「給費制」という。)。しかし、2011(平成23)年11月から司法修習を開始した新第65期の司法修習生から、給費制は廃止され、司法修習費用を貸与する制度に移行した(以下「貸与制」という。)。

日本弁護士連合会は、2012(平成24)年6月、新第65期司法修習生に対し、司法修習中の生活実態を明らかにすることを目的としてアンケートを実施した。

このアンケートの集計結果によれば、経済的理由から法曹への道をあきらめることを検討した者が3割近くもいる実態が明らかになると共に、改めて貸与制の不合理さが明確になった。こうした経済的負担の重さが法曹志願者を減少させ、有為で多様な人材が法曹の道を断念する一因となっている。

2012(平成24)年7月27日に成立した裁判所法の一部を改正する法律によれば、「司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ、検討が行われるべき」ことも確認され、これを受けて政府の法曹養成制度検討会議ではこの点についても検討が進められる。

よって、有為で多様な人材が経済的事情から法曹の道を断念することがないよう、早急に給費制復活を含む司法修習生に対する適切な経済的支援措置が採られるとともに、新第65期及び第66期の司法修習生に対しても遡及的に適切な経済的支援措置が講じられることを求める。



        2012(平成24)年6月9日


中部弁護士会連合会
理事長 中 村 正 典



愛知県弁護士会
会 長 纐 纈 和 義


三重弁護士会
会 長 村 瀬 勝 彦


岐阜県弁護士会
会 長 伊 藤 公 郎


福井弁護士会
会 長 和 田 晋 一


金沢弁護士会
会 長 奥 村  回


富山県弁護士会
会 長 青 島 明 生





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