中部弁護士会連合会

中弁連からのお知らせ

国選弁護人報酬の大幅増額を請求する決議

刑事裁判事件が増加する中で、国選弁護事件の比率はますます増加を続けており、今や被告人段階での刑事弁護の大半は国選弁護人によって担われている。このような状況下で、2005(平成17)年11月には、改正刑事訴訟法、同規則が施行され、公判前整理手続等が実施に移されることとなり、弁護人は、多大な困難と甚大な負担を強いられることになる。また、2006(平成18)年10月には、国選弁護人の推薦、報酬決定等の事務が裁判所から日本司法支援センターに移行されるとともに、法定合議事件などについて被疑者国選弁護制度が開始され、さらに2009(平成21)年10月には、被疑者国選弁護制度の適用範囲が必要的弁護事件にまで拡大される予定である。これらの事情は、個々の国選弁護人及び国選弁護事件を担当する弁護士に対して、大幅な負担の増加を強いることになると予測される。

このような事態にあって、弁護の質を維持しつつ十分な国選弁護対応態勢を確保するためには、弁護士が自己の法律事務所を維持しながら国選弁護事件について必要にして十分な弁護活動が行えるだけの報酬が支払われることが必要不可欠である。そして、その額は、起訴前弁護については20万円以上、起訴後の弁護については標準的な自白事件において20万円以上支払われなければならず、また弁護活動に必要な、記録謄写費用、交通費、通信費、通訳料、翻訳料等の実費全額が、別途支給されなければならないのである。

そもそも、国選弁護活動は、弁護士が職業として行う活動であって、決して犠牲的奉仕活動などではない。したがって、国選弁護人に対する報酬は、奉仕に対する謝礼などではなく、専門家としての職業人が行う職務の対価として相当な支払いがなされなければならないのである。

よって、当連合会は、上記の最低限の国選弁護報酬と弁護活動に必要な実費の全額を支払うための予算措置をとるよう政府(法務・財務当局)及び国会に対して要望する。さらに、その実現のために、専門的見識によって相当な国選弁護人報酬の額を検討することが必要であり、有識者による審議会を設置し、速やかな増額措置をとるよう求める。

 以上、決議する。 

2005(平成17)年10月21日
中部弁護士会連合会



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