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子どもと共に歩む「社会的養護」をめざす宣言
〜子どものパートナーとして〜

  中部弁護士会連合会は、2010年10月15日、子どもが直面している貧困問題に関し、「子どもの『学びの平等』を求める決議〜子どもの『学びの平等』のために社会と私たちがなすべきこと〜」において、「家庭的基盤が弱い、あるいはこれを失った子どもの学ぶ権利を保障するため、里親制度、児童福祉施設、自立援助ホーム、子どものシェルターなどの社会的養護、自立援助の市民活動の充実、拡大のための公的助成を拡充すること」を提言しました。2,000人に及ぶと推定される2011年3月11日の東日本大震災による災害遺児や震災以前から家庭環境を失った状態のまま被災した子どもたちの現状は、未だ十分に把握されていません。子どもが直面する困難はさらに深刻化するおそれがあります。


  国連子どもの権利条約は前文において、子どもは「家庭環境のもとで幸福、愛情および理解ある雰囲気のなかで成長すべきである」ことを謳い、家庭環境に恵まれない子どものために、家庭に代わる安心・安全な生活の場の確保、継続性のある養育、学ぶ権利・成長発達の権利の保障と自立の支援など、最善の利益を図る社会的養護の施策を国に求めています(3条、6条、20条、28条、29条)。それらの社会的養護の拡充は社会の責任というべきです。しかし、わが国の現状は、2010年6月公表された国連子どもの権利委員会の日本政府報告書に対する第3回総括所見においても、家族から離され施設に収容される子どもの増加、家族基盤型の代替的養護(里親など)に関する政策の不足、施設の不十分な基準、施設内虐待などの問題に懸念が示されています。
 親が所在不明にもかかわらず未成年後見人の選任もないまま施設で育ち、あるいは被虐待で施設に保護されても、虐待した親の問題は解決されないまま、さらには被虐待による心的外傷について十分なケアもないまま、15歳ないし18歳で適切な保護者・未成年後見人などの法定代理人もなく社会に出る子どもたちがいます。これらの子どもたちの社会的自立は困難を極めています。


  当連合会の会員弁護士有志が中心になって2006年設立したNPO法人子どもセンター「パオ」は、困難に直面した子どもの緊急避難のシェルターを開設し、さらに本年、子どもが社会的自立の力を蓄えるためのステップハウスを創設しました。同じ目的をもった民間の自立援助ホームと子どものシェルターの運動は全国的に広がり始めています。


  私たちは、弁護士の役割として子どものパートナーとなり、子どもの権利を基盤とした社会的養護と自立支援をめざし、児童福祉に関わる関係機関と手を携えて、子どもと大人が共に生き、共に育つ豊かな未来を築いていく挑戦を続けます。そのために、次のことを宣言します。

1)自立援助ホーム、子どものシェルター、ステップハウスなど、子どもの自立支援活動への公的助成の拡充を求めます。

2)児童福祉施設で育つ子どもの個々のニーズに応じたケアと自立支援(リービングケア)や卒園後に受け容れる社会資源の開拓を充実させる条件整備のための施策を求めます。

3)困難に直面している子どもや児童福祉施設で育つ子どものための子どもの人権相談活動の拡充に努めます。

4)改正された未成年後見制度や虐待防止に有効な親権制限などが真に子どもの最善の利益のために運用されるよう、また、子どもの代理人制度の創設など、子どもの福祉を具体的に実践するために実効性のある制度の整備をめざします。


以上のとおり、宣言します。


        2011(平成23)年10月21日


中部弁護士会連合会



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